第4回“日本生殖再生医学会”学術集会は2009年3月15日、大手町サンケイプラザに於きまして、久保春海副理事長・集会長のもとに無事開催されました。当日は前日までの冷たい雨もあがり、春の気配を感じさせるやわらかな日差しのもと、また年度末の慌しい時期にも拘わらず盛会の裡に終了いたしました。今回も約150人余の方々にお集まり頂くことが出来、皆様のこの分野に対する興味と期待を強く感じました。誠にありがとうございました。学会となって2回目となります今回も、森理事長の重視しておられる、再生医療を取り巻く、倫理と法律面の重要な課題につきまして、京都大学法学科教授の位田隆一先生から招請講演としてお話を頂戴いたしました。ES細胞研究に避けて通れない胚の滅失という重大な倫理問題を解決したと言われる、iPS細胞研究の問題点についても広くて高い視点からお話頂き、科学研究者の基本的な心構えにつき貴重なご教示をいただけたと感じました。
小倉淳郎教授はPGC由来のクローン産子について、また仲野徹教授は生殖細胞の分化に係わるPI3KとpiRNAについての特別講演は、お2人のこれまで蓄積された世界に誇れる研究業績に加えて最新のご研究成果とまた今後の課題についても言及されました。恒例となりました、優秀ポスター演題賞には、東北大学の有馬隆博先生、理化学研究所神戸研究所の小野哲男先生が選出されました。両研究ともに、配偶子、胚に対するepigeneticな影響に関連した研究であり、今後の更なる発展・応用が期待されました。
シンポジウムは、第3回のテーマ“着床”を踏まえ、今回は、より学会の興味の中心である、配偶子が取り上げられました。予想通り熱心かつ活発な討論が繰り広げられました。4人のシンポジストから、大月純子先生よりヒト卵の減数分裂における細胞質内形態異常とgere-phaseについて、岡部勝先生は受精におけるIZUMOとCD9の役割について、また若山照彦先生は、加齢受精失敗卵子からでもntES細胞が樹立できることをこれまでの膨大な核移植の研究から見えてきたものをお示しいただきました。そして、吉田仁秋先生は、未熟卵の体外培養という臨床的なお話を頂戴し、総合的に多角的に卵の質の評価について有意義な話題を提供頂きました。今回のテーマである“受精”“卵の質“について今後の研究における大きな一助となったとことは言うまでもありません。
各セッションでご登壇いただきました各先生方、会場にお越し頂きました先生方には本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。
ご協力を賜りました、各医療機関、生殖医療関連会社、事務局の皆様に深謝いたします。次期学術集会(第5回)は京野アートクリックの院長である、京野廣一先生を会長として2010年2月21日(東京)に予定しております。既に次回に向け、さらに魅力ある大会を開催できますように、テーマ、内容について意見も交わしております。口演・ポスターによる一般演題を募集し、多くの研究者の発表の機会となるように、皆様より一層のご協力をお願い申し上げます。どうぞ皆様、来年も学術集会に大勢の方々にご参集いただけますよう、宜しくお願いいたします。
2009年4月
日本生殖再生医学会 幹事
東邦大学 竹下 直樹
|